肉牛や生乳を生産する畜産業界では、「繁殖農家」「育成農家」「肥育農家」「酪農家」というように、養牛の分野でそれぞれのジャンルに専門特化した事業者の役割分担、いわば分業が一般的でした。しかし、ノベルズグループは、こうした“業界の常識”でもあった分業を必ずしも前提とはせずに、複数のジャンルを網羅し、また同時に体系的に独自の生産システムを形成することにより、製品の付加価値と生産性の向上を図っています。
ホルスタインと黒毛和種の掛け合わせである交雑種の雌牛に、1回だけお産をさせて子牛の販売収益を上げながら、トータル32カ月以上にわたって飼養して肉質を向上させ、肉牛として出荷する「交雑種1産取り肥育」。このユニークな肥育手法は、ノベルズグループの始まりである株式会社ノベルズの2006年設立当初に着手。全国の肉牛業界に先駆けて大規模な事業化に成功しました。
交雑種の雌牛から取り上げる子牛は、黒毛和種。受精卵移植(ET)の技術を生かし、黒毛和種の採卵牛と種雄牛(しゅゆうぎゅう)から生産される受精卵を移植し、肉用牛として市場価値の高い黒毛和種の子牛繁殖牛を受胎させる、いわゆる“借り腹”の繁殖スタイルを採っています。また、交雑種の雌牛の長期肥育は、国内でも、ほとんど前例がなく、ノベルズグループの肥育部門が研究を重ね、そのノウハウを確立しています。
ノベルズグループの育成部門では、「交雑種1産取り肥育」のプロセスで誕生した、黒毛和牛の採卵牛から生産させる受精卵を移植し、肉用牛として高い市場価値を持つ黒毛子牛を出産させるもので、この子牛を月齢9カ月前後まで育成し、素牛(もとうし)として出荷。生まれたばかりの子牛を畜産業界では濡れ子(ぬれこ)と呼びますが、この時期は抵抗力が弱く、管理に細心の注意が必要で、ノベルズグループでは、飼養データ分析やきめこまかな管理による1カ所の牧場で数千頭規模の子牛を飼養する多頭飼育の高度な育成ノウハウを確立しています。
ホルスタインの雌牛に、子牛を受胎させることで初めて搾乳できるので、酪農家では年間を通じて生乳だけではなく、子牛も出荷していますが、一般に酪農家は、搾乳牛から得られる生乳を「主産物」とみなし、その生産性の向上に注力し、取り上げられる子牛は「副産物」と考えてきました。 しかし、ノベルズグループでは、2011年に株式会社デーリィ―ファームを設立し、グループとして初めて酪農事業に着手。そこでは、生乳と同時に、子牛もまた「主産物」と位置付け、高品質の生乳生産と、特に受精卵移植(ET)の技術を生かした黒毛和牛の子牛生産に取り組み、これらの同時生産という独自の生産スタイルを採っています。
雌牛に子牛を受胎させて出産させる繁殖は、国内の肉牛農家や酪農家では、専門ノウハウを持つ獣医師などに委託するケースがほとんど。また、繁殖の手法として、「人工授精」(AI)や「受精卵移植」(ET)が普及していますが、後者の「受精卵移植」は技術的な安易度が高く、コストも高いとされます。そのため一般には、実際の繁殖では「人工授精」の手法が採られるケースが圧倒的に多い、という現状にあります。
ただしノベルズグループの肉牛・酪農事業の生産システムは、この難易度の高い「受精卵移植」が必須の要素。肉牛の肥育牧場においては、交雑種に黒毛子牛を生ませ、また、酪農牧場においては、ホルスタイン種に黒毛子牛を生ませ、こうした市場価値の高い黒毛和種の子牛が、売上構成比において大きなウェイトを占めています。そこで、ノベルズグループでは、この「受精卵移植」の“自家生産”に早くから取り組み、専門ノウハウを蓄積してきました。
ノベルズグループは、日本最大の国立公園「大雪山国立公園」の南側に位置する十勝北部上士幌町を中心に、道内に8カ所の牧場を営んでいます。十勝の気候風土は肉牛・乳牛の飼育に適しており、綺麗な空気、おいしい水をたっぷり飲んで育ちます。また、多くの自治体が移住定住対策に力を入れていて、移住されてくる方にも暮らしやすく、なじみやすい土地柄です。
会社名 | 株式会社ノベルズ |
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代表者 | 延與雄一郎 |
本社所在地 | 〒080-1408 北海道河東郡上士幌町上士幌東3線259 |
各拠点(クループ会社) | 株式会社延与牧場、株式会社イートラスト、株式会社ノベルズDF育成牧場、株式会社ノベルズデーリィーファーム、 株式会社浦幌デーリィファーム、 株式会社御影バイオエナジー、 株式会社ノベルズ食品 株式会社十勝耕畜クラスターの主要9社にて、十勝管内に10の牧場を展開 |
事業内容 | 肉牛事業、酪農事業、食品事業を展開 |
従業員数 | グループ主要9社合計で403名 |
ホームページ | https://nobels.co.jp/ |
https://www.facebook.com/nobels.co.jp/ |
掲載開始: 2019年08月26日〜